自家製ビール一考(2)

 瓶詰めが完了して、既に二週間がたちました。一週間目の味見では、やや酸味がありますが、ワインのようなフルーティな香りがする等の評価をいただきましたが、やはりまだまだ熟成が足りないような気がしました。

 そこで、2回目の味見を実施いたしました。よく冷えた自家製ビールの栓を抜きますと、プシュッといい音を立てます。密閉度は問題が無いようです。グラスに注ぎますと、それなりに淡い茶色の泡が立ち、ホップの良い香りが立ちます。ここまでは、問題が無いようです。

 そこで、味見ですが、気になっていたほのかな酸味が後ろに隠れ、苦みが前面に出てきました。また、淡い甘さもあり、ワインのような風味も感じます。ひょっとしたら、今までで、最もコクがあるかもです。とにかく、2杯目が飲みたくなりました。一応、成功のようです。

 ところで、ビール造りで最も重要な要素のうちで、こだわりたいのが「水」です。ビールの90%を占めると言われていますから、味に直結するのもうなずけます。今回使用した水は、滋賀県湖西地方の比良山系から沢水です。地元では、金比羅の水と呼ばれ、金比羅神社の上方斜面から湧き出しています。味は、ほのかな甘みを感じる、いわゆる「軟水」と思われます。この付近の山が花崗岩地帯ですので、多分軟水でしょう。

 ビール造りに適した水は、軟水か硬水かは、過去、ヨーロッパでも議論されてきました。当然、ビール造りを行う地方で手に入れやすい水を使うのが主流でしょうから、ヨーロッパは硬水によるビール造りが発達しました。

 ミネラル量が少ない水は「軟水」と呼ばれ、スッキリとしてなめらかな味わいは、ピルスナーなど淡色系のビール造りに適しているといわれています。ちなみに日本でピルスナースタイルの淡色系ビールが主流となった要因のひとつに、日本の水は軟水が多いことがあるようです。

 ミネラル量が多い水は「硬水」と呼ばれ、比較的味が濃く、ハッキリした飲み口になる傾向があることから、黒ビールなど味の濃い濃色系ビールに適しているといわれています。ヨーロッパでは、日本とは異なり硬水の地域が多いことから、現在でも濃色系ビールが盛んに造られているようです。今回、醸造したビールは、もちろん軟水で醸造したものですから、切れ味等で不利な面があるのですが、どうも、それは当たっているような気がします。味的には、切れ味というよりも、甘みのあるコクでしょうか。これは、個人の好みにも因りますので、今後の研究テーマかもしれません。

その3に続く

自家製ビール一考(1)

 一般に、自家製ビールを作成する上で、一番の問題はアルコール濃度です。酒税法では、1%以上の濃度のビールを造るには、許可が必要で、それも年60キロリットル以上の製造量能力が無いと受けられません。そこで、自家製ビールキットの説明書や、作成記録のブログ等では、1%未満にするように注意がされています。

 しかしながら、ソコはソコ。まぁ、詳しくは書きませんが、自分で賞味するのなら問題ないと思うかもしれません。それでも法律違反となります。このような条件をご理解いただいた上で、以下のビール製造記録を御覧ください。自家製ビールのおすすめブログと思っていただければ幸いです。

 今回は、ダークエールという、いわゆる「黒ビール」の一種になります。通常は、キット缶(モルトエキス)に砂糖を加えてイースト菌で発酵させるのですが、今回は砂糖の代わりに、もう1本キット缶を使用して発酵させます。砂糖を使う場合と比較して、よりホップの香りが引き立ち、濃厚なビールになると言われています。今回使用したキット缶が以下の写真です。ただし、普通の製造法に比べて単純に費用が倍かかります。

 お値段は2本で3800円程度。これが高いか安いかは判断が難しいですが、すでに道具を持っている場合、この量で約20リットル程度醸造できますので、中瓶500ccとすると約35から38本相当になります。35本として1本たり約110円。ただし、ペットボトルに入れるにしても、中瓶に入れるにしても、容器代が瓶1本当たり100円近くかかることから、廃棄を前提にすると、1本当たり200円を超えますので、決して安上がりにはなりません。容器回収前提なら、100円ちょっとでおいしいビールが飲めることになります。先の、砂糖を使う場合ですと、半額になりますので、これはとても安くておいしい、親しみのあるビールになります。

 瓶への仕込みが4月8日ですので、2週間後の23日以降飲み頃になりますが、この間は22~24度程度に維持する必要があります(下写真)。実は、1週間後の16日に、会社の数人で1本開けて飲んでみたのですが、やや酸味があり、ワインに似た香りがするなど、人それぞれの感想で、まだまだ熟成が足りない感があります。この酸味が、本来のエキスに因るものか、最悪、雑菌の繁殖に因るものかは不明ですが、心配事の一つです。このブログで、味の経過も含めて、報告をしていきたいと思います。

その2に続く